固定資産税は確定申告でどう扱う?経費にできる場合と注意点
固定資産税は確定申告で納める税ではありませんが、事業や不動産賃貸に使う資産の分は必要経費にできます。経費にできる範囲、按分、計上時期、売買時の精算金、償却資産の申告との違いを順に解説します。
固定資産税は確定申告で申告する税金ではない
固定資産税は、土地・家屋・償却資産を持つ人に対して市町村(東京都の特別区では都)が税額を計算し、納税通知書を送って課税する地方税です。所得税のように自分で税額を計算して申告する仕組みではないため、固定資産税そのものを確定申告で納めたり、支払ったことを報告したりする必要はありません。
それでも固定資産税と確定申告が結び付けて調べられるのは、事業や不動産賃貸をしている人が、支払った固定資産税を所得税の計算で必要経費にできるからです。また、事業用の機械や器具などの償却資産を持つ人は、確定申告とは別に市町村へ償却資産の申告をする必要があり、両者が混同されやすいという事情もあります。
このページでは、固定資産税の基本、確定申告で経費になる場合とならない場合、按分の考え方、計上する時期、売買のときの精算金の扱い、償却資産の申告との違いを順に説明します。
固定資産税の基本となる税率・免税点・賦課期日
税額は、固定資産税評価額をもとにした課税標準額に税率を掛けて求めます。課税されるのは賦課期日の時点で固定資産課税台帳に所有者として登録されている人で、年の途中で手放しても、その年度の税額は賦課期日時点の所有者に通知されます。
同じ市町村内で持つ土地・家屋・償却資産それぞれの課税標準額の合計が免税点に満たない場合は課税されません。宅地の評価は、地価公示価格等に対する所定の割合を目途に行われています。具体的な値は下の表で確認してください。
条例で標準税率と異なる税率を定めている市町村もあります。お住まいの地域で実際に適用されている税率や、住宅用地の特例などの扱いは、自治体の資産税担当の窓口で確かめてください。
| 対象 | 項目 | 値 | 適用時点 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| 全国 | 標準税率 | 1.4% | 令和8年度 | 総務省 |
| 全国 | 賦課期日 | 1月1日 | 当該年度の初日の属する年 | 総務省 |
| 全国 | 免税点(土地) | 30万円 | 令和8年度 | 総務省 |
| 全国 | 免税点(家屋) | 20万円 | 令和8年度まで | 総務省 |
| 全国 | 免税点(償却資産) | 150万円 | 令和8年度まで | 総務省 |
| 全国 | 宅地の評価の目途(地価公示価格等に対する割合) | 7割 | 平成6年度評価替から | 総務省 |
課税標準額から年税額の目安を計算する
納税通知書に添付される課税明細書に記載された課税標準額を入力すると、固定資産税の年額の目安を確認できます。住宅用地の特例や新築住宅の減額が適用されている場合は、明細書に記載された特例適用後の課税標準額や減額後の税額を基準に見てください。
確定申告で必要経費に入れる金額は、計算機の目安ではなく、納税通知書に記載された実際の税額を使います。都市計画税が課されている地域では、通知書に合わせて記載されている都市計画税も同じ考え方で扱えます。
確定申告で固定資産税を必要経費にできる人
必要経費にできるのは、事業所得や不動産所得などを得るために使っている資産にかかる固定資産税です。たとえば、貸しているアパートやマンション、貸地、店舗や事務所の建物と敷地、事業で使う機械や器具にかかる税額が該当します。
白色申告でも青色申告でも、事業や賃貸に使っている資産の分であれば必要経費に入れられます。収支内訳書や青色申告決算書では、租税公課の欄に記入するのが通常です。
給与所得だけの人が自宅にかかる固定資産税を払っていても、所得税の計算で差し引くことはできません。固定資産税は医療費控除や社会保険料控除のような所得控除の対象ではないため、自宅分を申告しても所得税は減りません。
自宅兼事務所や共有名義のときの按分
自宅の部屋を仕事場として使っている場合は、家屋と土地の固定資産税のうち、事業に使っている割合に当たる金額だけを必要経費にできます。割合は床面積や使用時間など合理的な基準で決め、根拠を説明できるようにメモを残しておきます。
共有名義の不動産を貸している場合は、納税通知書が代表者宛てに届いていても、通常は各共有者の持分に応じて税額を分け、それぞれの不動産所得の経費にします。実際の負担の仕方や契約内容によって扱いが変わることもあるため、迷うときは税務署で確認してください。
生計を共にする親族が所有する土地や建物を事業に使っている場合、その親族が負担した固定資産税を事業を営む人の必要経費に算入できる取り扱いがあります。適用の条件があるので、該当しそうなときは事前に確かめておきましょう。
どの年の経費にするか(計上時期の考え方)
固定資産税は年度分の税額を数回の納期に分けて納めるのが通例です。必要経費に入れる時期は、原則として納税通知書を受け取った年に、その年度分の全額を計上する考え方です。
このほか、各納期が来た分や実際に納めた分をその年の経費とする方法も認められています。どの方法を選んだ場合も、毎年同じ方法を続けることが大切です。年によって方法を変えると、計上漏れや同じ税額を重ねて計上する誤りが起こりやすくなります。
納期限を過ぎて納めたときにかかる延滞金は、必要経費にできません。延滞金を払った年は、本来の税額と分けて記録しておきましょう。
不動産を売買したときの固定資産税の精算金
不動産の売買では、賦課期日時点の所有者である売主がその年度の固定資産税を納めることになるため、引き渡し日以降の分を買主が日割りで売主に支払う精算金をやり取りする慣行があります。
個人が土地や建物を売って譲渡所得の申告をする場合、売主が受け取った精算金は売却代金に含めて扱います。買主が支払った精算金は税金そのものではなく物件の取得費に含める扱いとなり、賃貸用や事業用の建物であれば、建物部分は減価償却の基礎となる取得価額に含まれます。
精算の起算日をいつにするかは地域の慣行や契約で決まります。契約書や精算書の記載を確認し、申告の際に金額の根拠を示せるようにしておいてください。
償却資産の申告と確定申告の違い
事業に使う機械、器具備品、構築物などの償却資産を持つ個人事業主や法人は、賦課期日時点の資産の状況を、定められた期限までに資産がある市町村へ申告します。これは固定資産税を課税するための申告で、所得税の確定申告とは提出先も期限も異なります。
確定申告で減価償却している資産と、償却資産の申告に載せる資産は重なる部分が多いものの、自動車税や軽自動車税の対象となる車両、ソフトウェアなどの無形固定資産は償却資産の申告の対象外とされています。対象となる資産の範囲や申告の方法は、お住まいの自治体で確かめてください。
確定申告の内容と償却資産の申告が食い違うと、市町村から問い合わせが来ることがあります。帳簿の固定資産台帳と照らし合わせてから提出すると安心です。
確定申告の前に準備しておく書類と見直しの機会
固定資産税を必要経費にする場合は、納税通知書と課税明細書、納付の記録(領収書や口座振替の記録)、事業割合を決めた根拠のメモをそろえておきます。共有名義なら持分がわかる書類、売買があった年は売買契約書と精算書も用意しましょう。
課税明細書を見る機会に、評価額や住宅用地の特例が正しく適用されているか、取り壊した家屋が課税され続けていないかも見直しておくとよいでしょう。疑問があれば、市町村の資産税担当の窓口で説明を受けたり、固定資産課税台帳の縦覧や閲覧の制度を利用したりできます。
よくある質問
ご自宅の固定資産税が適正か、無料の診断で確かめられます。
固定資産税の払いすぎをチェックする